【塾開業日誌5】一年目の夏期講習から秋にかけてのできごと
from 平山淳
こんにちは。平山です。
今回は私の開業初年度の夏期講習終了後のお話です。
リアルな開業初期の話なので興味のある方はぜひお読みください。
開業初年度の二学期を迎えて
夏期講習には3名が参加、うち1名は二学期も継続して受講することになり、9月からは塾生5名となりました。週に五日、一度ずつ授業があるという状況です。この時期、たしかにまだ収入はわずかだったのですが、精神的には比較的充実した日々を送ることができました。
まず、生徒がいるわけですから、当然教材研究をして臨むことになります。おおよそ一日一人ですので、相当の時間を学びに充てることができます。この時期に教材をしっかり研究し、授業のやり方を工夫したことは、思い返せば貴重な時間だったと考えます。
準備を始めると、時間はあっという間に過ぎていきます。そして授業を行い問題点を見つけ、それを改善していくという流れだったと思います。余計なことを考える暇がありませんでした。今までのブログにも記しましたが、生徒がいないこと、暇なことが一番よくありません。この状態を開塾してすぐに脱却できたことは、幸運でした。
この時、授業準備に時間をかけたことは、後々の役に立っていると思います。当然のことながら、準備をしっかりと行ったうえで授業に臨むことは、質の高い授業につながるはずです。また、講師としての技量を高めるには、実際の経験を積むしかありません。この点でも有効でした。
また、後々生徒が増えてきてから感じたのですが、例えば同学年のお子さんを担当するとき、同じ教材を用いたり、同じやり方で指導したりができます。これは当たり前に感じられるでしょうが、とても大切です。当然のことながらお子さん一人ひとりは違うお子さんです。しかし、最初から一人ひとりに独自の教材を探し、それぞれに合ったカリキュラムを考案して実践していくということは、現実として困難です。メインとなる教材や教え方は共通のものとしたうえで、個々に応じた講義を行う、これが実際的でありますし、お子さんにとってもいいことだと思うのです。やはり講師自身が使い慣れ、精通した教材を用い、慣れた指導法を用いることに越したことはありません。
もうひとつの大きな仕事として、ホームページのブログ更新があります。前回のブログでもふれましたが、もう少し補足しておきます。少しずつ慣れたきたこともあり、ブログを書くこと自体が楽しくなり始めました。この頃は、当塾生は中学受験生が中心だったこともあり、中学入試問題の学校別傾向、中学受験に必要な語彙の学び方などを取りあげることが多くありました。
ブログを書くこと自体、講師としての知識、技量を向上させるためのいい機会となったと思います。このパートナーシップでは、ブログを書くことを通じてホームページを育て、有益な集客ツールにしていくことを、とても大切にしています。他の塾FCやコンサルタントに比べても、ブログの重視はこのパートナーシップの大きな特徴です。そして、塾経営を軌道に乗せていくためには必須の事項だと実感します。質の高いブログを書くための努力は、必ず報われます。集客面はもとより、講師の力量向上にも、とても役立つのです。
ブログは自分の書きたいものを書くのでなく、お客様が求めているものを書くことがたいせつです。塾生や保護者との会話も参考にしながら話題を決めていくわけですが、やはり上述の受験に直結するものが良いようです。ただ、たまには、受験をテーマにしたブログのなかで、あるいはブログまるまる一つを使って、講師自身の人となりがわかるものもあっていいように思っています。私は、自分の予備校時代の恩師のことを書いたり、受験期の親子関係について書いたりしました。保護者にしてみれば大切なお子さんを預けるわけですから、指導内容だけでなく、講師がどのような人間かは知っていたいことのように思うのです。
この時期は、徐々に実際の塾の仕事が増えてきたこと、おもに休日は家族の事業の手伝いをすることなどから、すこしずつ気持ちも落ち着き、やれそうだという感覚を持てた時期のように思います。目指していたワークライフバランスへの第一歩を踏み出せた時期のように思います。
集客面での変化
開業約半年後のこの時期、あまり落ち込むことなく元気に過ごせた理由のひとつに、ホームページへの問い合わせがコンスタントにあったこと、そして数名の入塾者があったことがあげられます。どの事業でもそうですが、個人で始めたときもっとも大切なことは、お客様が来てくれることです。お客様を集めないことには仕事は始まりません。自分で事業を行うということはすべてを自分の手で行うということですが、この集客という仕事、楽しんで取り組んでいくこと大切に思います。
私は偶々もともと営業マンでしたが、決して営業向きの人間だとは思っていません。それでもずっと営業をやってきました。そもそも営業向きの人間がいるのではなく、その仕事内容に合っているのかどうかが大切に思うのです。塾で生徒を教えたいけれど営業は苦手と思う人がいるかもしれませんが、そもぞも子供と接することができる人ならば、その仕事のための営業はできるはずです。たとえば体験授業、これも営業活動の一環です。体験授業ができて、それを通じて入塾してくるお子さんがいるのなら大丈夫です。お客様は、決して少なくない費用を塾に費やすわけで、信頼できない塾に入ることはないですから。
くりかえしになるかもしれませんが、このパートナーシップでは、ホームページをご覧いただく→国語力を高める冊子をお送りする→体験授業にいらっしゃっていただく→という流れで塾生が入ってこられます。こういうふうに書くと、ずいぶんと手間がかかるだんだとなと思われるかもしれません。ですが、このくらいかけたほうが、本当に納得して入塾されるわけで、退塾される割合も低いのではないでしょうか。
集客の第一歩は、ホームページをご覧いただくこと、そして冊子をお読みいただくことです。最初のうちは、検索してホームページをご覧いただく方は、余り多くありません。そのため第一歩に導くには、宣伝が必要となります。このパートナーシップでは、フェースブック広告とチラシポスティング広告が二本の柱となります。戸高先生は、ホームページが育ってくると、ホームページを検索して探してくる方が増えるので、これらは徐々に不要になってくる趣旨のことを言われていました。そのときは半信半疑、あるいは本当にそうなったらいいだろうなくらいの気持ちでした。
ところが、実際にその傾向が、この9月以降現れてきました。昨春の開塾から8月末までのおおよそ半年間、ホームページへの問い合わせは、合わせて61件でした。この間、フェイスブック広告やチラシのポスティングを何度も行ってきました。ですので、問い合わせの八割以上は、これらを見て問い合わせた方々でした。実際の入塾者は7名、フェイスブック広告から3名、チラシポスティング広告から2名、ホームページに検索エンジン等からコンタクトされた方は2名でした(問い合わせに対して11%の入塾者)。
この年の9月から12月は広告をやや控えめにしたこともあり、問い合わせ数は20件、そのうち入塾は5名、全員が広告を介さずにホームページをごらんになった方です(入塾者は25%)。これがホームページが育ってきたということなのでしょう。ブログをずっとやってきた成果もあるのだと思います。ただ、広告に意味がないとは思いません。見たことがある、この塾の名前はどこかで聞いたことがある、ということが、お客様の潜在意識に残り、需要に代わっていくと思うからです。ちなみに今年はいままで38人から問い合わせがあり、17名が入塾しました(問い合わせのうち45%)。問い合わせいただいた方々の入塾の割合も上がってきており、やれるという実感ができつつある今日この頃です。
フロー状態を楽しむ
ところで、当塾では、要約の課題文として、茂木健一郎氏の「脳を活かす勉強法」をよく使います。そのなかに、次の一節があります。”時間が経つのも忘れ、雑音も耳に入らず、本人はただシンプルに仕事を楽しんでいる状態。これを「フロー状態」と呼びます。”
ブログを書いているとき、授業の準備をしているとき、このような状態になっているのかなと感じることがあります。こういう経験は、会社勤めだったり、雇われの講師だったりでは感じにくい、できにくいと思っています。必ず周囲の誰かを気にしていなければならないからです。起業のメリットは、ここにもあるのではないでしょうか。この本には、フロー状態について、こんなふうにも書かれています。”そして、脳はこのフロー状態をとても好む性質をもっています。あまりに心地よいため、それを何度も再現したくなるわけです。”
現在、私は、夏期講習の準備を進めています。とにかくやれるだけのことをやっていきたいのです。フロー状態を何度も経験していこうと思います。次回は、年を明けてからのことを中心に記していく予定です。